前回はオートキャド(AutoCAD)を使って「トレース」をする仕事についてお話ししましたが、今回はその続きです。

■最も入りやすい職種だけに
トレースという仕事は、オートキャド(AutoCAD)の操作ができればスタートラインに立つことが出来ますので、初心者の方が最も取りかかりやすい仕事だと思います。

図面に関わる仕事をしていると時々口の悪い人がいて、何を勘違いしたのかトレースについて「誰でも出来る仕事」と言ったりします。

トレースをすることで利益を得る為には、やはり様々な技術とノウハウが必要になってきます。

大量の時間をかけることさえできれば、誰がやってもいつか図面は完成します。でも、仕事とはそういうものではなく、利益を上げなくてはならないものですから、そんな話には意味がありません。

「誰でも出来る」とか言っている本人は、その分野では素人である訳ですから、そうした詳しい内容など知るよしもありません。

ただ自分の感覚だけで「誰でも出来る」と言うのです。大抵の場合、その後に「俺は出来ないけどね」とか付け加えたりします。

その「俺は出来ない」という言葉の裏には、「そんなことはお金を払ってやってもらうんだ」という思いが隠されていたりします。

隠されていると言いましたが、人によってはそれが露骨に出ている場合も多いです。まあはっきり言ってイヤな感じです。

そうやって他人の仕事内容を下に見たりする行為には、一体なんの意味があるのでしょうか。
少なくとも私には理解不能ですし、そういう人と話をするのは不愉快で気分が悪くなります。

ここでそんなことを書いても仕方がない話ですが、これからオートキャド(AutoCAD)を覚えようと考えているのであれば、そうした目で見られる場合もあるということを覚えておきましょう。

■スピードを磨くこと
「誰でも出来る仕事」と思われる場合もあるトレースという仕事ですが、誰でも利益をあげることが出来る訳ではありません。

ビジネスとして赤字で良いのであれば、確かに誰でも出来る仕事です。

でも、利益を上げなくても良いのであれば、ほとんどの仕事は「誰でも出来る」と言えるのではないでしょうか。

そんな仕事全般について考えても仕方がありませんが、オートキャド(AutoCAD)を使ってトレースの仕事をする場合、何よりも求められるのが操作の早さです。

最近はトレースの仕事を海外に発注する会社も多いです。

海外では日本に比べて人件費が安いので、当然図面の単価は日本に比べて安く押さえることが出来ることになります。

そうなると価格の競争になる訳ですが、絶対的な人件費が違いすぎる為、価格では勝負になりません。

でも「勝負になりません」で済む話ではないので、少しでも価格的な勝負が出来るようにオートキャド(AutoCAD)の作図スピードを高めておく必要がある、という訳です。

作図が早いということは、1枚の図面を短時間で作図することが出来るということです。

そうすると、安い単価でも時給は高くなります。1枚5000円の図面でも、1時間で作図が出来れば時給5000円になりますし、10時間かかれば時給は500円です。

作図完了までに必要な時間に10倍も差がつく訳がないと思うかも知れませんが、人によってはそれくらいの差がつきます。

だからこそ商売としてやっていくことが出来る訳です。

これからオートキャド(AutoCAD)を覚えようと考えているのであれば、もちろん操作を覚えることが先決ではありますが、その先には作図スピードというステップがあることを覚えておきましょう。